2014年 12月 21日
「痺れる」と「痺れを切らす」の違い~もしかして解決編~ |
おはようございます!
1週間ぶりの更新です。ぐっと寒さが厳しくなりましたが、今のところ私は霜焼けができておりません。例年だとこの時期には足の親指か人指し指(足なのに人指し指って言うの!?)に霜焼けができて大変困っている時期です。ちょっと暖房をつけすぎたのか、それとも外に出ていなさすぎるのか。まあこれから霜焼けができるヵもしれませんが、とりあえずはいい感じです(*^▽^*)さて。今日は満を持して「痺れる」と「痺れを切らす」の違いについて語ろう。と思っていたのですが、正直言うとまだ結論が出ていません。Twitterにはたまーに書いていたのですが、友人や教授と議論していたら、この素朴なテーマが予想以上に肥大化して卒論にもなるんじゃないか説が浮上してまいりました。「辞書引けば終わるんじゃないの?」って思うじゃん?そう簡単にいかないんだよなあこれが。一体何がこの話を難しくしているか、今日はそのことを書こうかなと思います。
まあまずは辞書的な意味を確認しておきませう。いずれも『日本国語大辞典』という信頼のおける辞書から引用しました。「痺れを切らす」には「待ち遠しくて我慢できなくなる」という意味もあるのですが、今のところは「血液の循環が悪くなる」という意味だけ検討しています。もしかしたら「待ち遠しくて」の方の意味も重要になるのかもしれませんが、とりあえずはこれで。
・「痺れる」…体の全体または一部の感覚がなくなり、運動の自由が利かなくなる。電気などを感じてビリビリ震える。
・「痺れを切らす」…長く座っていたりしたため、血液の循環が悪くなって足の感覚がなくなる。足がしびれる。
≒「痺れが切れる」
どうでしょうか。まあ予想通りそんなに差はないみたいですね。強いて突っ込むとすれば「痺れる」は体の全体に使えるけど、「痺れを切らす」の方は足にしか使えないようです。確かに手とか痺れた時に「痺れ切れた(-_-;)」とは言わないですもんね。「じゃあ、所詮はそんくらいの違いなんかい!( `ー´)ノ」と言われそうですが、まあそう急くでない。ここからが本番。ではなぜ足のビリビリ感を表す時だけ「切る(正確には「切れる」だけど)」という動詞を使うのか。さあこれで「切る」の意味も調べなきゃいけなくなった。
・「切る」…一続きにくっついている全体を分離・分断させる。その結果、離れ離れになった状態が自動詞「切れる」。
・「切れる」…つながっているものが分かれ離れる。断たれる。音信・話・持ち続けていた気持ちなどが断たれる。他動詞「切る」とはちがって、動作性ではなく状態性の意味をもつ。(『日本国語大辞典』『基礎日本語辞典』より)
まあ自動詞他動詞はいいとして、どちらにも共通してるのが「続いていたものが切れる」というニュアンス。「電話が切れる」「エンジンを切る」とか、それまで続いていたものが終わるっていう意味ですよね。他には「使い切る」「全力を出し切る」みたいに補助動詞で使うときもありますが、これも「今まで使っていたコショウが無くなった」「自分の持てる力を出して、もうエネルギーが断たれた」みたいに、プツッと糸が切れた感があります。「充電が切れる」は「電池がなくなる」っていう意味。「麻酔が切れる」は「それまで効力を発揮していたものが力を失う」ということ。
ここで「痺れを切らす」を確認します。「切らす」っていう「なくなる」「断たれる」「終わる」っていう動詞を使っているにもかかわらず、ビリビリ感は終わってないでしょ!?「切る」っていうのは「なくなる」っていう根源的な意味があるのに、しびれが無くなっていない?ってことは、ビリビリしてない通常の血液循環のことを「痺れる」って言っていて、その血液の流れが断たれたから「切る」を使って「痺れが切れる」なんて言うの?ビリビリしてない時を痺れるって言うならこの説が成り立つけど、そんなことは100人に聞いたら間違いなく100人ともが「通常状態は痺れるとは言わない」と言うでしょうな。ここなんですよ、この問題の不思議なところは。
この「プツッと切れる感」がない「切る」って不思議だなあと思いました。教授に相談したところ「『堪忍袋の緒が切れる』と同じなんじゃない?」と言われました。今までは「なくなる・断たれる」ばっかり考えてたので、この例は思いつきませんでした。どういうことかというと、「堪忍袋の緒が切れる」は「切れてる」けど怒りが収まったわけじゃなくて、今まで我慢してたものが更に激しくなったってことですよね。そういう風に「限界突破」の意味が「切る」にはあるようです。だから「痺れが切れる」も「痺れる」の限界突破verなのかなー?って言われましたが、この例でも腑に落ちないところがありまして。それはやっぱり「プツッと切れる感」なんですよね。「堪忍袋の緒が切れる」の「緒」って、紐のことですからやっぱり何だかんだいって「プツッと切れる感」がある用法です。一方で「痺れを切らす」には「プツッと切れる感」がないじゃないか!!こんな感じの思考回路で、私と似たようなもの好きの友人たちは「外国語では痺れるときに「切る」使ってんの?」とか「痺れるってビリビリ感があるけど、電気が発明される前は血液循環が悪くなることを何て言ってたの?」なんて聞いてくるんですね(笑)どちらもまだ調べ切れていませんが、ドイツ語と英語には「痺れる」ことを「切る」を使って表現はしていませんでした。多分(; ・`д・´)
散々ここまで書いてきましたが…ちょっと待って。「痺れを切らす」の限界突破のニュアンスを考えると、「痺れ」自体に「プツッと切れる感」はないものの、「それまで痺れを我慢していた気持ちが切れた」ってことで「気持ち」に「プツッと切れる感」があるんじゃあ……。おやおやおやおやおやおやおや(^▽^;)? これ解決したのかしら?実はSexyZoneがレギュラー出演してる『ザ少年倶楽部』を聴きながら書いてるので、思考力は欠けてるんですが…。うーん、そういうことでいいのかなあ。どちらにせよいつから「切る」に「限界突破」の意味ができたのか、データベース使って調べなきゃ。それから「痺れを切らす」みたいに表面上は「プツッと切れる感」がないけど、「もっと奥の物にプツッと切れる感」がある用例を探しますね、これ以外に思いつかないので。もしかしたら「痺れを切らす」だけが超例外なのかもしれません。
まあ今書けるのはこのくらいです。また何か分かったことがあれば書きますし、突っ込み入れたい人はコメントしてくれたら嬉しいです。
それでは~。
by luckyboy4155
| 2014-12-21 10:26